福岡市の当店でジャズのレコードの持ち込み買取。

先日はジャズのレコードの持ち込み買取がありました。

キャノンボール・アダレイとビル・エヴァンスのアルバム、
「Know What I Mean?」のドラムとベースは、
MJQのパーシー・ヒースとコニー・ケイである。
ワン・ホーンと室内楽的な3人がハード・バップの終わりを告げてるかのうよう。
1961年の作品。

本日はさらにMJQの「シェリフ」を聞いた。
ボサノヴァの「カーニヴァル(黒いオルフェ)」がお洒落。
1963年の作品である。

ジャズも円熟味を出していて、ハード・バップに飽きてきた時代だろうか、
ボサノヴァや静かなジャズが増えている。

マイルス・デイビスの1959年の「カインド・オブ・ブルー」、
所謂「モード・ジャズの誕生」ここが分岐点か。

ゲッツ/ジルベルトが1964年で、ワルツ・フォー・デビイが1961年、
A&Mレコードの設立が1962年となる。

西海岸のクール・ジャズは黒さに欠ける感がする。
最初の東へ対抗するモチベーションが崩れてハリウッド映画のようだ。
そんなに落ち着いて聴けるジャズでもない。

ワン・ホーンのアルバムで静かなると言えば
ケニー・ドーハムの「Quiet Kenny」。
これは特によくできたハード・バップだけど、
バップの延長の域を超えてない。

ジョン・ルイスではないかと。
チャーリー・パーカーと競ったほどのビバップ奏者の顔を持つ彼が、
クラシックの室内楽的な雰囲気を醸し出しながら、
ミルト・ジャクソンとアドリブを競い合うバンドがMJQ。
これを理解して、リズム隊二人が黒さを保ちながら抑制されたリズムを作る。

マイルスとMJQこそ、
ハード・バップの延長でいながら、
他のハード・バッパーのように黒人音楽への回帰に止まらず、
ジャズを発展させ、黒人音楽の繊細の美を最大限に表現したアーティストであり、
反面、芸術としてのジャズの固定観念、
イメージを作り上げた罪もある。

それから聞いたのがレニー・トリスターノ。
この人は古い。「鬼才トリスターノ」は1955年作品。
リー・コニッツが参加しており、
「クールの誕生」を生んだギル・エヴァンス、マイルス、ジェリー・マリガン
そしてリー・コニッツ、ジョン・ルイス等のクール・ジャズの流れを、
この盲目の鬼才は緊張感を保ちながらクール・ジャズを披露している。
コニッツのアルトも同様に繊細で美しい。

このように聞いていると、ジャズが芸術として育っていくのは、
マイルス・デイビスのトランペットによるところが大きいが、
ジョン・ルイスも要所で存在している。

MJQがプログレッシヴだと思ったのは、最初に知ったのが
ロック・バンドが出て来るショウに参加した映像での極端にクールなたたずまい。
彼らはビートルズの「アップル」からもアルバムを発売している。

室内楽的なメタ・クラシック・ジャズの裏側には、
ファンキーかつ黒いグルーヴが流れている。
この二重構造にジョン・ルイスがジャズの世界で長らく生き存えた
策士としての才能を感じざるをえない。

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