グレン・ミラーはほとんど聞いていなかったが、
改めて聞いてみて、これほど瑞々しいとは思わなかった。
ホーン隊のきらびやかさ、
ソロリストの美しさ、
これは音の良いオーディオで聞いてみたい。
彼の楽団はジャズの演奏でクラシックのような楽団を作りたかったのではないか。
その他の楽団が黒人音楽としてのリズムを強調していたとしたら、
彼はリズムに重きを置かず、
シンコーベーションにしても優しく、
より美しい音色による美しい弾き方で、
いかに観衆をうっとりさせるかに重きを置いている。
アレンジもその後の西海岸のクール・ジャズに繋がる
「いかにして黒人音楽のタフさに対抗できるか」を意図的ではなく実践している。
ホーン全体が豪快にスイングするデューク・エリントンとは違い、
ホーン隊は抑制されており、
聞き手を快楽に解放させるのでなく、
じわりとじわりと、むず痒くさせる。
これは随分セクシーな音楽だと。
このことは本人のトロンボーン演奏にも言える。
もちろん、豪快にスイングさせる場合のリズムも超一級品で、グイグイ来る。
様々なサウンドに対応できる演奏力。これぞ超一流バンドたる証拠だ。
「瀬川昌久自選著作集」の「グレン・ミラー音楽の本質」では
瀬川氏は「ミラーほど合奏、ソロ、ヴォーカル、コーラスとの4つの融合と調和による
一曲全体の美しさに細心の注意を払ったリーダーはいない。」
「彼は時代の随分先を進んでした。非常にモダンで、今日聞いても決して古くない」。
このように書かれている。
この芸術的なサウンドをぜひ、大きな音で隅々まで味わってもらいたい。
個人的に今、聞いてる中では1939年10月録音の
「Bluebirds In The Moonlight」が素晴らしい。
完璧でメカニックなアレンジによる隙のない音楽の一つにあげたい。
ちなみにアレンジャーはベニー・カーター。
ボーカルはマリオン・ハットン。
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