フィル・スペクターが亡くなった。
彼の第3期であるライチャス・ブラザーズについて。
今までの鳴り物は潜め、
さらなる奥行きを追求するようになった。
集団演奏にさらに深いエコーをかけることにより、
どこまでも壮大な雲が覆うような大空のような、
よりプログレッシヴなサウンドを作り上げた。
そこから射す光のようにソウルフルな二人の声が響き渡る。
1965年、世の中はピンク・フロイドもキング・クリムゾンも登場していない。
彼は西海岸でジャズを聴き、クラシックを聴き、R&Bを聴いて、
未開の地を開いた、まさにプログレッシヴなパイオニアである。
スペクターは自らの大豪邸でワーグナーを一人聴いてたらしい。
このライチャスの壮大なるサウンドを聴いて一人悦に入っていたのでは。
スペクター指揮による、今までのポップ・ミュージックを超えた、
大人のためのシンフォニー・ポップはここに完成された。
「ふられた気持ち」「アンチェインド・メロディ」は到達点であり、
一歩踏み込んだソウル・ミュージックの雛形は、
ドラムをハル・ブレインからニューオリンズのアール・パーマーに替え、
一足先に南部のルーツ音楽であるサザン・ソウルに近づいている。
リーバー=ストラーやバート・バーンズが作ったアーリー・ソウルから出発して、
ロネッツらのティーンエイジ・シンフォニーで自らの録音方法を確立し、
本格的に歌える二人のソウル・マンで、
愛するクラシックとソウルという相反する世界の融合を果たす。
できることなら今日はスペクターが大豪邸で聴くかのごとく、
大きなオーディオ装置で壮大なライチャス・ブラザーズの世界を堪能し、
そして、数奇な運命を辿った彼の人生を振り返り、
ビートルズの「レット・イット・ビー」で奥深き鳴り響くエコーを堪能し、
一日を終わえる、そんな追悼の日にしたい。
もちろん、テディ・ベアーズからリーバー=ストラーとの仕事、
全盛期のフィレス、ビートルズのソロ、ラモーンズとレコードも交えながら。
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