夏前に福岡市城南区で買取したサーフィンCDから、
ジャン&ディーンを聞きました。
「Ride The Wild Surf(邦題 太陽の渚)」
このサウンドは「ウォール・オブ・サウンド」に近い。
チャック・ベリーのようなワイルドで
黒い要素が入ったロックンロールで、
これに二人の分厚いハーモニー、
それからハル・ブレインと思わせる手数の多いドラム、
エコーの効かせかた奥行きの深さ、
ステレオだが詰め込まれた音の数々は一丸となって迫ってくる。
この曲にはブライアン・ウィルソンがクレジットされている。
スペクター趣味のブライアンによるビーチ・ボーイズ・サウンドだ。
このアルバム「Ride The Wild Surf」では、
スペクターを思わせるサウンドはタイトル曲のみで、
それ以外では3曲目の「WIAMEA BAY」は、
後のソフト・ロックやフォーク・ロックに繋がる感じがする。
スティーヴ・バリがこのアルバムに参加してるからか。
5曲目の「Restless Surfer」も
ソフト・ロックに通じるようなストリングスが入ってきます。
僕が聞いてるのは「Ride The Wild Surf」と
「Little Old Lady From Pasadena」の2 in 1ですが、
CDのクレジットによると、
オーケストラ・コンダクターはハル・ブレインだそうです。
プロデュースはジャン・ベリー。
バッキング・ボーカルはP.F.スローンとスティーヴ・バリの
ファンタスティック・バギーズ。
そして、ブライアン・ウィルソン。
これらのフィル・スペクター西海岸界隈が一同に揃った作品であります。
やはりビーチ・ボーイズとの違いはブライアンの珠玉のバラードと、
5人の分厚いコーラスが無いところでしょうか。
シングル曲を一聴するとビーチ・ボーイズとそっくりですが、
LPレコードを通して聴くと、いかにビーチ・ボーイズ、ブライアンが
アルバムに重きを置き、コンセプトに力をか入れたかが分かります。
珠玉のバラードが無いと申し上げましたが、
三連符の「A Surfer’s Dream」が
女性ボーカル(作曲のジル・ギブソン?)とストリングスを加え、
美しいバラードに仕上がっております。
僕はジャン&ディーンは当時の黒人デュオ、
スペシャルティのドン&デューイの掛け合いや
アトランティックのコーラス・グループ、
コースターズのようなノヴェルティ的なものを意識していたのではないかと思います。
「Little Old Lady From Pasadena」では、
ファンタスティック・バギーズの二人が作った
「Horace, The Swingin’ School-Bus Driver」が良い出来です。
ファルセットと分厚いコーラスとホーンが入るので、
ビーチ・ボーイズを彷彿させます。
「ジャン&ディーン&ファンタスティック・バギーズ」だったら、
ビーチ・ボーイズに対抗できます。
バラードの「When It’s Over」も良い出来ですね。
力強いドラムはハル・ブレインでしょう。
ストリングスが絡んできて、
ちょっとした「ミニ・ライチャス・ブラザーズ」のようです。
あるいはデニスが歌うビーチ・ボーイズ的な切なさも感じさせます。
これもジル・ギブソン(一時期ママス&パパスのメンバーでもあった)の曲です。
1963年「クリスマス・ギフト・フォー・ユー・フロム・フィル・スペクター」
1964年「ザ・ビーチ・ボーイズ・トゥディ」
盛り上がってる西海岸サウンドの真っ只中、
ルー・アドラーが最も売れ線を狙ったジャン&ディーンのこれらのアルバム。
上記二つのコンセプト・アルバムには敵いませんが、
熟練したハーモニーとその時代を担っていた裏方達による、
当時、最先端なポップなロック・アルバムです。
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