福岡県糸島市から買取したジャズのレコードを整理しています。
西海岸ジャズが多いです。
ハル・ブレイン。
オールディーズやソフト・ロックのレコード・コレクターなら大好きな
西海岸のセッション・ドラマーです。
彼のドラミングがなぜ人気があるのかを分析してみました。
今、聞いてるレコードはフィフス・ディメンションです。
まずはジャズのようにスイングするドラム。
これはベニー・グッドマンの「シング・シング・シング」なんかを思い出してほしい。
ジーン・クルーパのバック・ビートでありなら他の楽器を邪魔しない
余韻が残るようなグツグツと煮えたぎるようなドラミングは
アフリカのドラムのようで呪術的であり、
これと似た感じで、けっしてボーカルを邪魔せず、
煮えきれないような生々しいドラミングが逆にアフリカ的な土着を感じさせる。
そのに手数の多いおかずを入れるとまるでポリリズムのようで、
特にフィフス・ディメンションでは、
ベース奏者のジョー・オズボーンの音の太さも印象的で、
ポリリズム的なものが更に倍増する。
ウキウキする感じだ。
実のところブレインはジーン・クルーパの兄弟弟子である。
(師匠が同じらしい)
このようにジャズの感覚が強いところが、
1960年代半ばから後半に一世を風靡した
これまでのロックンロールにないコード進行や複雑なアレンジにハマった。
これとは別にフィル・スペクターはロネッツなどシンプルな曲調が多い中、
ハルのドラムの特徴である余韻が残るようなオフ・ビートにさらにエコーをかけて、
ボーカルと対等である「音の壁」の中心にハルのドラムを置いた。
さらに手数の多いところを利用し、
後半畳み掛けるエンディング部分でハルにドラムを連打させた。
しかしながら時代が70年代半ばになると、
ポップスやロックの曲が長くなっていき、大人向けになっていくと、
ハルの手数の多いドラムやスイングするドラムは、
4-5分間の中では詰め込みすぎて、
ウキウキ感も不要となったし、
コンピュターや最新機材の電子音とスイング感溢れるドラムは相性が悪い。
映画「レッキング・クルー 〜伝説のミュージシャンたち」によると、
億万長者だったハルは一気に貧乏生活へ。
山下達郎の話で有名なチャーリー・カレロ・プロデュースによる
「サーカス・タウン」録音時、
達郎が好きなドラマーとしてハルを挙げたが
「彼は確かに1967年には一流だった」と一蹴されたと。
ハル・ブレインで検索すると、
ジェリー・マリガンのジャズの人気盤「ナイト・ライツ」が出てきた。
1965年再録音しているが、その時のドラマーがハル。
ジャズでもけっこう叩いてそうな感じだけど、
調べたら1965年のマリガンぐらいみたいです。
「イフ・ユー・キャント・ビート・エム・ジョイン・エム」。
このアルバム、日本でもCD化されてるようです。
YouTubeで聞いてますが、マリガンのバリトンが気持ちよい、
ロックの名曲を西海岸ポップ・ジャズで演奏したアルバムです。
でもやっぱりジャズ調の曲より、サーフィン・インストぽいアレンジの
ビートルズ「キャント・バイ・ミー」のカバーの方で本領発揮してます。
あとベンチャーズの「ハワイ・ファイブ・オー」もメル・テイラーではなく、
ハル・ブレインじゃないかと推測してみましたが、
レッキング・クルーの面々で、ギターはトミー・テデスコ、
ベースはキャロル・ケイで、
ドラムは違う人でしたでした(ネット情報ではジョン・グェランって人)。
惜しい!
メル・テイラーとハル・ブレインのプレイ似てますよね。
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