今回は福岡県筑紫野市から買取したジャズ・レコードとCDからの「買取日記」です。
アート・ファーマー「モダン・アート」
昨日アート・ファーマーのレコード「モダン・アート」を聞いて「どこが良いの?」と散々けなしたところ、3度聞くと気に入ってしまいました。
中古レコード屋にはお馴染みの髭面のドアップ・ジャケットで有名な「モダン・アート」ですが、ルイ・アームストロングの素晴らしきブルージーでブリリアントなトランペットにハマっていた身にすると、このファーマーのトランペットの音の小ささに我慢ならず、ジャズテットとして名を馳せるパートナーのベニー・ゴルソンのブリブリしてスピード感溢れるサックスに比べるとファーマーのか細い音、なんかしっくり来ない。
ベニー・ゴルソン「ニューヨーク・シーン」
聞いていて凄くストレスが溜まってきていたところ、ゴルソンのリーダー作「ニューヨーク・シーン」も買取していたので、こちらの面子を見ていると「モダン・アート」でイマイチだったリズム隊がポール・チェンバースとチャーリー・パーシップとかなり黒っぽい音が出せるコンビであって、ファーマーも脇に回ると良いソロを吹きそうだし、実際ミルト・ジャクソンの1958年作品「バグス・オパス」でもファーマーのトランペットが良かったし、期待して「ニューヨーク・シーン」を聞いたところ、悪くはないが、なんかオールド・ファッション的なハード・バップでがっかり。
まさに「モダン」で「アート」なレコード
これと比較すると「モダン・アート」は吹きまくるゴルソンとファーマーとの対比、それからビル・エヴァンスの参加が、ゴリゴリのハード・バップだった「ニューヨーク・シーン」に比べタイトル通り「モダン・アート」な作品だと気がつきました。
このレコードは「温もりのある作品」云々言われるが、まさにそこに新しい時代のジャズ・ピアニストであるエヴァンスが参加することで、後のマイルス・デイヴィスの1959年作品「カインド・オブ・ブルー」の橋渡し的な側面があるんじゃないかと思いました。
気鋭のアレンジャーとして活躍したゴルソンが繊細なファーマーを組んだのはこの作品はまさに「モダン・ジャズ」であり、1957年の「ニューヨーク・シーン」から1958年の「モダン・アート」の1年間で、ゴルソンの時代を読み取る能力の鋭さが発揮されたのかと思います。
名盤「スウェーデンに愛をこめて」
その後のファーマーは「スウェーデンに愛をこめて」でフリューゲル・ホルンを完成させ、アトランティック録音らしいピート・ラロカとスティーヴ・スワロウのリズム隊と共に黒っぽさを出しながら、北欧のスウェーデン民謡を、ジム・ホールのギターの美しい音色と独自のモダン・ジャズを作り出し、1965年に独自の名作を誕生させました。
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