『ブラック・ビートの火薬庫』〜中村とうよう監修・選曲のジャズから派生したジャンプ・バンドのR&Bサウンド。

IMG_8053これは先日、福岡市の某中古CDショップで見つけて、思わず即買いした、中村とうよう監修・選曲の「MCAジェムズ・シリーズ」の一枚です。
ジャンプ/ジャイヴと二つのジャンルは一緒くたにされますが、このCDはジャンプに特化させており、かつて発売された同「MCAジェムズ・シリーズ」の「ブラック・ミュージックの伝統~ジャズ、ジャイヴ&ジャンプ篇」のジャンプの部分を特化させた内容となっており、ここに出てくる1940年代のジャズのビッグ・バンドやコンボは、チャーリー・パーカーなどアンダーグラウンドな場所で芽生えたバップからモダン・ジャズへと流れていく一般的なジャズの歴史とは別に、ジャズがR&B,ロックンロールへと流れていくルーツでもあることを証明した非常に貴重なオムニバスCDだと言えます。

レコード会社縛りがあるものの、ここで大活躍したのがラッキー・ミリンダーです。
ビル・ドゲット、パナマ・フランシス、デイジー・ガレスピー、シスター・ロゼッタ・サープ、ブル・ムース・ジャクソン、エディ・“ロックジョー”・デイヴィス、ワイノニー・ハリスといった、ロックンロール、R&B、ゴスペル、ジャズの主流を成すメンバーを選ぶバンマスとしての才能が素晴らしく、ブルースだけがロックの原点って感じの人に、ぜひ、聞いてほしいです。

他にもライオネル・ハンプトンも多く収録されていますが、ボーカルをとるサニー・パーカーは黒人音楽のダンディズムの権化のような人で、このような埋もれた存在をCD化させた中村とうよう氏の「MCAジェムズ・シリーズ」のような企画アルバムがサブスクの登場で発売されなくなったのが非常に残念です。

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『ザ・ビーチ・ボーイズ・トゥディ』ビーチ・ボーイズ〜『クリスマス・ギフト・フォー・ユー・フィル・スペクター』を聞く前に。

IMG_8089朝、車で店舗に行く前にかかっていたのは季節外れのビーチ・ボーイズの「トゥデイ」でした。
今日は11月の中旬ですが、冬のように寒く、本当は「クリスマス・ギフト・フォー・ユー・フィル・スペクター」を聞きたい気分だったのですが、車のオーディオは季節関係なくシャッフルに真夏のサウンドを響かせます。

フィル・スペクターのクリスマスを聞きたい時に、真夏のビーチ・ボーイズは残念な気持ちになっていたのですが、このアルバム、レコードでいうとA面は、今までのアップテンポの夏のポップ・ハーモニーのビーチ・ボーイズ・サウンドを全曲フィル・スペクターふうの「ウォール・オブ・サウンド」でやっているのです。
そう考えると俄然、聞きたくなって、1曲目の「踊ろよ、ベイビー」に改めて戻しました。
レッキング・クルーの演奏陣もスペクターと同じで、エコーが効いた分厚いサウンドで、それでいてモノラルと、数多くフィル以外の「ウォール・オブ・サウンド」が存在しますが、このアルバムのA面こそが、最もフィルに近い音を出していると思います。
レコードでのB面ですが、がらりと変わり、バラード・タイプを集めたサウンドで、今までのブライアンの作る美しいバラードに加え、不穏な空気を醸し出す「プレ・ペット・サウンズ」の音も聞けます。
「ウォール・オブ・サウンド」「初期ビーチ・ボーイズ」「ペット・サウンズ」これらが一気に楽しめるCDです。

リリースは1965年、ローリング・ストーン誌が選ぶ「オールタイム・ベストアルバム500」では271位ですが、サーフィン・サウンドから「ペット・サウンズ」に移行する過渡期で、ビートルズが「ラバー・ソウル」を発売する前なので、レコードをコンセプト・アルバムにする思考がなかったため、このような分裂気味のアルバムとなりましたが、この後発売された「ラバー・ソウル」を聞いた後、ブライアンは「サマー・デイズ」と企画アルバム「パーティー」を挟んで「ペット・サウンズ」を1966年に発表するのであります。

ちなみにCDは「サマー・デイズ」と2 in 1で出されているのが凄くお得で、HDCDで音質も良く、価格も安くお勧めです。
レコードより収録曲が多いのもCDの魅力です。

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『ザ・ベスト・オブ・アーリー・ベイシー』カウント・ベイシー~R&Bの元祖、カンザス・シティ・ジャズの珠玉の名曲たち収録。

IMG_8077新しいコーナーです。
SNSで呟くように、気軽にCDを紹介していくコーナーです。
私はレコードではなく、CDをコレクションしています。
レコードをコレクションすると自分が欲しくなって、商売にならないので、比較的安いCDを集めています。
単品オーディオで、大きい音で聴くとCDでもかなりの良い音になります。
今回紹介するのはジャズのカウント・ベイシーの初期音源のCDです。
これなんとアマゾンで送料込みで400円ぐらいで買えたのかな。
レスター・ヤングなどの名手がいた時代で、1937年に「ワン・オクロック・ジャンプ」が発売されたのですが、このカンザス・シティ・ジャズこそがR&Bの元祖、R&B最初期作品であると思います。
中村とうようさんの「大衆音楽の真実」に、この時期のジャズについて、とても詳しく書かれています。
1942年のライオネル・ハンプトン「フライング・ホーム」でテナーのイリノイ・ジャケーの半小節のワン・ノートを12回連発や、1940年のアースキン・ホーキンズでのピアノの3連音符の強調など、コール&レスポンス、リフの連発、ブルースの強調など、黒人を熱狂させるに値する様々な手法が取り入れ、この発祥がカンザス・シティのカウント・ベイシーのこの時期にあるのです。
紹介したCDは1930年代後半のデッカの初期ベイシーを凝縮させており、CDならではの20曲収録は魅力的です。
「ハニーサックル・ローズ」「ブギ・ウギ」などもリフの連発で、ロックの芽生えが1930年代に発生しています。
1938年の「ジャンピン・アット・ザ・ウッドサイド」は「ワン・オクロック・ジャンプ」を更に強力にしたもので、バック・クレイトン、レスター・ヤング、ハーシャル・エヴァンス等の演奏はジャズ・エイジの熱狂を絵に描いたかのようです。
解説はスイング・ジャーナル元編集長の児山紀芳さんで、一曲一曲を丁寧に書かれており、これこそがライナー・ノーツのあるべき姿だと思います。

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