暑い夏にはひんやりとした女性ジャズ・ボーカルはいかがでしょうか?
このジャズ・ボーカルという分野、意外に底が深いと思う。
数がやたら出てるし、ジャケにつられて買ってみたら、どれもこれも似た感じ。
でも、ここから、微妙なニュアンスを探しだしていくのが面白い。
まあ、普通にアコースティックな演奏に美しい声がのるという大前提があるから、
ポップスとジャズが大好きな私にとって、そうそう買って失敗はない。
そう意味で、色々聞いて、今更ながら改めて名盤と再確認したのが、
アニタ・オデイの名盤「This Is Anita」から「Who Cares」。
このアルバム、全体的に隙がない。本当によくできている。
ポール・スミスのピアノ、バーニー・ケッセルのギター、
名手のバッキングが素晴らしい。
これまたバーニー・ケッセルのギターが大活躍するのが
アン・リチャーズ「ANN, MAN!」。
あの鬼才スタン・ケントンの奥さんでもあります。
この「An Occasional Man」はメランコリーでスイングして大熱唱!
ケッセルのギターのみで歌われる「There’s A Lull In My Life」も良い。
とにかく快調なアルバムです。
しかしながら、このアルバム、あまりYouTubeにない。
だから、また同じくスタン・ケントン楽団出身のアニタ・オデイでの「An Occasional Man」。
カル・ジェイダーとのアルバムから。
ジェイダーのヴァイヴが冷んやり気持ち良い。
アン・リチャーズはスタン・ケントン楽団で力強く歌ったこれが良い。
ケントン楽団は控えめなブルージーな演奏から、一気に爆発する。
当時、最もプログレッシヴな楽団らしい見事なオケ。
これに負けないリチャーズも素晴らしい。
続いても夏らしく、パーカッションもので。
ビバリー・ケリーのパーカッションのみで歌われる
「It Ain’t Necessarily」。
ガーシュウィン兄弟による「ポーギーとベス」からの一曲。
こっちは本物のラテン。
ブラジルの人気ボーカリストだったドリス・モンテイロ。
この1950年代の録音はボサノヴァ誕生以前なので、
「サンバ・カンソーン」か。
でもジャケットといい、美人で可憐な歌声といい、
ジャズ(ポピュラー・ボーカル)アルバムの趣。
リズムや楽器はブラジルしていて、とても優雅でおしゃれ。
アメリカの女性ジャズ・ボーカルに影響を受けたのかも。
このフラン・ウォーレンはデューク エリントンのオーディションに受かり、
クロード・ソーンヒル楽団で活躍して、
映画出演もしている実力派です。
正統派で力強い歌唱ながら親しみやすく、
とてもバランスが取れた歌手で、
各ジャズ楽団にとっても逸材として欲しい存在だったのでは。
これはクロード・ソーンヒル楽団での堂々たる歌声。
アレンジはギル・エヴァンスかジェリー・マリガンでしょうか。
スイングというより、抑制の効いたアレンジでゴージャスな張り詰めた緊張感、
所謂クール・ジャズの始まり、
この後、マイルス・デイビスはギル・エヴァンス、
ジェリー・マリガンと共に「クールの誕生」を生み出します。
その「クールの誕生」におけるボーカル入りの「Darn That Dream」。
ギル・エヴァンスがクロード・ソーンヒル楽団で得たオーケストラによる歌ものを、
ビッグ・バンドではなく、より音数が少ないクールな9重奏団で試みている。
バップの影響もあり、以前のスイング・ボーカルのハツラツとした感じとは違い、
実にスタイリッシュ。
ビリー・エクスタインやナット・キング・コールのバラードとも違う。
1970年代に追加収録された曲で、
1950年代にまとめられたLPには収録されてないと思う。
「クールの誕生」はクロード・ソーンヒル楽団と「マイルス・アヘッド」を繋ぐ、
過度期のものであり、先鋭な二人がチャレンジした意欲的な作品。
「クール」をテーマにしながらも非常に熱いものを感じる。
あ、これは女性ではなく、男性歌手ケニー・ハーグッド。
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